ささきーやです。
今日は、この話の続きです。
しょっぱなから大変なところに来てしまった感が強かったあの日々。その後もうまくいかないことが多かったですね。
私は、とても不器用です。中学生の頃に、技術という科目で実習がありました。内容は、木の板を底板と横板の計5枚切り、釘どめをして箱を作るものでした。みんなが綺麗な形の箱を作っていくのを横目に、私は板を切るのすら時間がかかりました。まっすぐに切ることはできず、切断面ががたがただったのを今でも覚えています。それを組み立てると……当然どの辺もまっすぐではないという素敵な箱が出来上がります(笑)恥ずかしかったですね。
そんな私ですから、素早く提供する商品を作るなんてことが得意なわけありません。時間はかかるし、見た目も悪い。社員なのに、アルバイトの大学生より仕事が遅い。しばらく、自分にはこの仕事は向いてない、なんでこんなにつらいかわからない。早く辞めようと思う日々が続きました。
ところが、3ヶ月ほどたったときにある転機が訪れます。
私が働いていた店では、カフェラテなどを作る際にビストロという機械を使っていました。画像は私が触っていたものより新しいもの【ビストロⅡ】ですが、これも販売終了品だそうです。
参照:SEB Professional|WMF&Schaerer&Curtisコーヒーマシン https://www.wmf-japan.co.jp/
ネットカフェやファミリーレストランで見かけたことがある方もいらっしゃいます。これはフルオートのマシンで、洗浄やメンテナンス、設定さえちゃんとしておけば誰でも同じ味を出すことができます。もちろん色々なコツはあるのですが、味や見た目の限界があるので使い手としては面白みのないマシンです。これの良さは、誰でも同じような品質のものが提供できること、ですので。作業の楽しさはやや少ないのです。
それが、ある時に新しいマシンを先行導入することになったのです。
チンバリー社の【ドサトロン】です。
参照:FMI
https://www.fmi.co.jp/
これはセミオートのエスプレッソマシンです。当時、私の部署では野望がありました。というか、事業部長に野望がありました。日本に、イタリアンバールの文化を広めるという野望です。この野望を達成するため、イタリアのエスプレッソマシンを使いこなす。そして社員は、バリスタになるのだという目標を熱く語っていました。
勤務環境は最低の状況ですが、ビジョンはなかなかわくわくさせられるものでした。そして私はイタリアンに興味を持ち、つまらない作業をする毎日の中でも、カフェラテ、ラテアートの技術を習得することを面白いと思いました。バリスタに憧れを持ったことによって、カウンター前で待っているお客様が少しでも面白く待てるように所作を考えてみたり、工夫をし始めたのもその頃でした。
そうするとなぜか、飛び抜けて不器用なはずの自分の技術が上がっていき、スピードも正確性も少しずつ向上していったのです。
辞めるやめる、そんな話を上司にもしていた私が、気が付いたときには続けてみたいと思ったのでした。
そうすると、変なものでその一ヶ月後に店長として異動を命じられたのです。
では、本日はここまで。また、ご興味あればよろしくお願いします。